2014年11月19日水曜日

言霊


言霊……というわけではないのですが
いや、そうなのかな
このブログにいい事を書くと、大抵数日後に真逆のことが起きるのは何故なんでしょう。
逆言霊。


「最近体調いいです!」
って書いた前回。
次の日にぶり返してまた微熱。
早めの葛根湯で、私の「治す力」が珍しくお目覚めしたらしく
熱はそこまであがらずすぐに落ち着いたのですが
その次の日に夕方突然具合が悪くなり、予備校でダウン。

しかし、熱なし、悪寒なし、発汗なし、痛みもなし。
この日は朝から昼間にかけて交通量の多い中、自転車でかなりの距離を移動したので
たぶん排気ガスとか大気汚染の影響で気持ち悪くなったのだろうなと思い、
30分くらい寝てみたがむしろ悪化の一途をたどる。

「気持ち悪くて吐きそう」だったのですが
インドネシア語も英語もそうですが「なんか気持ち悪い」という日本人的な感覚にふさわしい適切な表現というはないので
「なんか胸のあたりが気持ちよくなくて、ちょっと吐きそうなかんじ」
と伝えると、
予備校の先生方であるおっさん達が
インドネシア人お得意の
「くろはMasuk Anginだ!」
と主張。

Masuk Angin(マスック・アンギン)とは、インドネシア人が主張する謎の病気で
Masuk=入る Angin=風
という意味なのですが
まあ、いわゆる 風邪 です。


しかし、「それって風邪でしょ?」 などと安易に言ってはいけません。

インドネシアにしばらく住んだことのある外国人が必ず耳にするこの病気、
「違うよ!風邪じゃないよ!」と主張するネシア人でかならず一悶着あります。

Google 翻訳 大先生にも「Cold(風邪)」と訳される始末。

印尼(ネシア語)日辞典。
風邪をひく masuk angin

印尼辞典。
風邪をひいた。
masuk angin


Kamus(辞書)にももちろん「風邪」と定義されています。

それでも、現地民は「Masuk AnginはMasuk Anginであって、風邪じゃない」といいますが
「Masuk Anginの症状は?」と聞くと、人によってまちまちですが
全部風邪の症状でしかありません。

彼らは、Masuk Anginがインドネシアにしかない病気(つまりそんなものは存在しなくて、風邪でしかない)ということを知らないのです。
私を含む、外国人は、ネシア人のこうしたところに正直呆れていました。
いや、まあ西洋医学で定義づけるなら。の話ですが。

前にも書きましたが、インドネシアと病気の関係というのは非常に特有で
彼らは風邪とインフルエンザの区別がついていないのです。
先ほどは、辞書でMasuk Anginが風邪と定義されていましたが
逆に、在日インドネシア人向けのメディカルハンドブックには
「Flu = 風邪」
と書かれているのです。

メディカルブック。ネシア人向け。
Flu = 風邪

もちろんFluは風邪でなはく、インフルエンザの事なので、これは間違いです。
印刷ミスではなく、ネシア人の認識が医学的に間違っているということ。
(そもそも Flu は Influenza の短縮形なので、風邪じゃないことは明らか)

ネシアでは工学の知識は国際協力機構の支援もあって非常に高いのです。
でも医学・科学の知識・常識は本当ーーーーに低い。
これは、学の違いではないんです。
学がある・ないに関わらず、学歴に関わらず
これは一貫して知識が無いんです。

ネシア人は情報収集は得意な民族です。
ましてやインターネットが普及しているこの時代に、なぜこんなにも医療の知識がないのか。
理由の1つとして私は
ネシアの民間療法がそれだけ根強いのだと思います。
(ネシアの民間療法については長くなるのでまた今度。)


そして、
ネシア人は、病気にかかると
症状だけを見ているだけで、その原因が
ウイルスなのか、免疫力が落ちているだけなのか、それとも花粉なのか
ということは全くどうでもいいようなのです。

私の友達のパンダ君は、非常ーーに頭がいいのですが
彼でさえ「日本留学したら花粉症になったからパブロン飲んだ」とか言ってるくらい。
花粉症はインドネシアにはないので、知識が少ないのは当然なのですが
彼の場合、日本語がぺらぺらで、
自分が風邪ではなく花粉症だという自覚があるにもかかわらず
花粉症がなんであるかを分かっているかも分かっているのにもかかわらず
頭がぼーっとする、鼻水が出る等の症状から イコール それらが治るパブロン飲んどけ。
という発想になってしまうのです。


だから、
「風邪とインフルエンザの違いは、医者に断定してもらわないと素人には区別がつけられない」
という説明をしても
いまいち誰も理解してくれないのです。
最悪なのが、医者も然りです。
医者に見てもらうと、症状の断定はしてくれますが
病名が何で、なにが原因なのかは分かってないようです。
病名を聞いても毎回はぐらかされるのはこのせいなのだと私は思うのです。
そもそも病名を尋ねるネシア人も見た事がありません。


私はインドネシアのこの特有な病気との関係を
インドネシア医学だとは思えませんが、
西洋医学とも、中国の医学とも違う、ネシア特有の病気との関係が存在していると思います。
まだはっきり見えてこないけど、何か、確かにあるんです。
こんなに医学の知識が低い理由が何か。
あまりに気になったので、日本人が書いた博士論文の
インドネシア人と病気
というようなものを読んだのですが、
私の欲しい情報はまったく得られず。
残念。





ネシアには、病気だけではなくて
日常の出来事でも、大学院の授業でも、あらゆる場面で
「非・科学的」
な事が沢山、沢山起こります。

具合があまりにも悪いので、乗って来た自転車で帰る事は諦め
友達に車で家まで送ってもらったのですが
帰る途中で寄ったガソリンスタンドで、数台前の車に異変。
ガソリンを入れたばかりのワゴン車を
男性が二人、外から車を押してゆらゆら揺らしているのです。
私は喧嘩かと思うもなにやら喧嘩という風でもないので、
運転してくれている友達に、あの人たち、何してるの?と聞くと
爆笑。

まずはじめにいっておくと、彼は私と同じ大学の薬学部を卒業して
現在歯医者さんであります。
彼の口から
「レントゲン線は何mmから何mmの範囲うんたらかんたら」
と、科学的なことを聞くと、私はホッとするのです。

そんな彼が、車を揺らす男性を見て爆笑した後
「あれはねぇ、Mythos(神話・伝承)だよ。
インドネシア人はね、ああやって車をゆらすと中のガソリンが増えるって信じてるんだ。」

「 …… W H A T’ S ! ! ! ! ? ? ? ? ? 」

もう、私が何度 What’s!? と Excuse Me!? を連呼したか知れません。



ネシアに言霊があるという話は聞いたことはありませんが
Mythos関係は、散々目にして来ています。


ところで、言霊といえば
万葉集には
「そらみつ大和の国は言霊の幸ふ国(ことだまのさきわうくに)と語り継ぎ言ひ継がひけり」
という、
日本は言葉の呪力によって、幸福がもたらされている国である
という文章が載っているということを辞書で読みました。
前後の文章は全く知らないのですが、
言葉が魂をもって人を幸せにする
というのは、いかにも日本人的で、素晴らしい表現だなぁ〜〜と思うのですが
言霊を信じるというのは外国人から見たら、
非科学的なMythosでしかないのだろうか。
と、思い、頭がぐるぐるしています。


あー ぐるぐるしてまた気持ち悪くなってきた。笑

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ご無沙汰しております、Kuroです。 アーカイブとしてしか機能していないこのサイトですが、 それでもある程度の方が見てくださっているようで有難い限りです。 インドネシア在住時の2年半の間は、ほぼ毎日更新しておりましたが 日本での暮らしに忙殺されて、 書こう書こうと...